わたしとGolf Vol.3 上原かなえさん(クラフト作家)
Golf Ⅷ
暮らしと麦わらをのせて走る。
クラフト作家が選んだGolf Ⅷ
麦わらや紙、糸などの自然素材を使ったクラフト作品を手がける、長野県・御代田在住の上原かなえさん。北欧の伝統装飾「ヒンメリ」との出会いをきっかけに麦わら細工をライフワークとし、自らライ麦を育てながら作品を生み出し、手しごとの楽しさを伝えるワークショップにも力を入れている。
そんな、ひそやかでありながら行動力にあふれた上原さんの暮らしに欠かせないのが、愛車のゴルフVIII。移ろう季節や時間を受け止めながら、前へと進みつづける。いつもそばで寄り添ってくれるクルマと、彼女の暮らしについて話を聞いた。
移住先の信州では、クルマが生活の道具に
ー長野県御代田町に8年前に移住されたそうですが、その経緯を教えてください。
もともとは東京でグラフィックデザイナーとして働いていたのですが、PCやデジタルではなく、自分の手でモノを生み出すことにずっと憧れがありました。それで30歳を過ぎた頃に一念発起して仕事を辞め、デンマークの手工芸学校に1年間留学したんです。そこでさまざまな伝統的な手法を学びました。
素材の収穫時期や季節行事など、自然素材で作られた伝統工芸は季節のリズムに合わせて作業するという側面もあるのですが、そのデンマークでのゆったりとした時間の流れを体感してしまうと、東京の日常の目まぐるしさと、自分の手工芸のスピード感のギャップがどんどん気になるようになったんです。みんなが生産性や効率を追い求めているのと、まったく逆の方向に自分がいるような気もしたのですが、その「ゆっくりであること」の大切さを一番体で理解してしまったからこそ、きちんと続けていくには環境を変えるしかないと思ったんです。
御代田町には夫の両親が先に移住していたこともあって、自然が豊かで、デンマークで感じた時間のペースを取り戻せそうだなと感じました。夫も含めて、ここで暮らすために私たちの働き方や生き方をガラリと変えてきた感じですね。
ー現在の暮らしでは、クルマはどのように使っていますか?
東京に住んでいた頃は交通の便のよい場所だったので移動はほとんど電車だったのですが、移住したら移動手段としてクルマが欠かせなくなりました。都会ではクルマはどちらかというと嗜好品という側面が大きいですが、ここでは完全に生活の道具。食料品の買い出しや子どもの送り迎えといった毎日の用事から、休日の小旅行まで、外出=クルマという感覚です。
夫は東京にも仕事場があるので、月曜の朝にクルマで上京して水曜の夜に帰ってくるのがルーティン。そのため私用にも一台必要になりました。移住したての頃は冬の運転がとても怖かったのですが、ママ友との運転談義や実際の経験を通して少しずつ慣れてきて、簡単なメンテナンスやタイヤ交換も自分たちでできるようになりました。先日スタッドレスに替えたときは、夏タイヤのボルトを固く締めすぎていて一本だけ夏タイヤのままなんですけど(笑)。
ペーパードライバーだった私は運転に不安があったので、移住してから5年ほどは国産のコンパクトカー。でもすっかり運転にも自信がついたことと、作品やワークショップの材料を積むことも増え、さらに子どもも成長して手狭に感じるようになってきたので、2年ほど前にゴルフへと乗り換えました。
旅先で出会った、どこにでもフィットする一台
ーどのような経緯でゴルフⅧのオーナーに?
仕事柄ヨーロッパに行くことが多く、その旅先でフォルクスワーゲンをよく見かけていたので、現地の人々の生活に自然に溶け込んでいるクルマだという印象がありました。日本では外国車=高級というイメージもありますが、あちらではみんなが気軽に乗っていて、長く信用されて使われている感じがして。個人的には堅実でベーシックなクルマなんだろうな、となんとなくの意識があったくらい。
それまでフォルクスワーゲンを運転する機会はなかったのですが、2023年に友人を訪ねてイタリアのミラノからピエモンテへ移動するために借りたレンタカーがたまたまゴルフVIIIだったんです。ミラノの街中は道が狭くて石畳も多く、道はガタガタ。はじめての土地で左ハンドルということもあってすごく緊張していたのですが、街中も高速も田舎の峠道も、どんな場面でも力まずに運転できたんです。そのとき「あ、これはいいクルマだな」と強く感じました。
それで、そろそろ自分のクルマを買い替えようと思ったときに真っ先に思い浮かんだのがゴルフ。レンタカーで乗ったものと同じ色のゴルフVIIIを選びました。
ー愛車のどんなところが気に入っていますか?
まずは、絶対的な信頼感ですね。ドアを開け閉めしたときの、あの「ちゃんとした重さ」で、それをすごく実感したんです。これなら丈夫だし、子どもを乗せていても安心できるなと、今もずっと感じています。あと運転していても、それまでのクルマは加速するときに無意識に身構えていたのですが、ゴルフはどんなときも安定感があります。山道でも変に振られることがなくて安心して走れますし、夫が乗っている大型SUVと比べても、乗り心地が静かでしっとりしている印象です。息子の送り迎えで幼稚園まで毎日2往復していて、年間の走行距離は1万キロ以上になりますが、ディーゼルで燃費もよいので、これからも長く付き合っていけそうかなと。
デザイン面では、ベーシックでありながら品があるところが好きです。特にこのボディカラーは独特で、ここ御代田の風景によく馴染むんです。周りは自然に囲まれていて、春の芽吹きの淡い緑、夏の濃い緑、秋の紅葉、冬のベージュの世界や雪景色……と、窓の外の景色が季節ごとに本当に劇的に変わりますが、そのどれの中にあっても、このクルマはいつも自然に溶け込んでくれる気がします。
デザイン性と機能性の両立が魅力
不確定要素が多い暮らしを支える、安心なクルマ
ーゴルフを手にしてから、フォルクスワーゲンの印象は変わりましたか?
乗る前は「真面目で堅実なクルマ」というイメージが強かったのですが、実際にゴルフに乗ってみると、女性の私でも扱いやすいですし、こちらに寄り添ってくれる親しみやすい存在に感じるようになりました。本当に、故障の不安や不快なトラブルを心配せずに付き合えているので、「絶対的な安心感」がありますね。
見た目でいったら古いクルマにも憧れはありますが、私にとってクルマは嗜好品というより必需品。もし故障して使えなくなってしまったら、子どもの送り迎えも仕事も立ち行かなくなってしまいます。私の暮らしの中には、子どものことや天気、自然環境など、自分ではコントロールできない不確定な要素がたくさんあるので、せめてクルマだけはしっかり安心できる存在であってほしいんです。
ー暮らしのなかで、ゴルフと過ごす時間をどう感じていますか?
移動時間が長い暮らしをしていると、クルマに乗る時間そのものが、日々の中の大事な時間になってくるんですよね。だからクルマは、単なる移動手段というよりも、その時間をちゃんと味わえるような道具であってほしい。音楽を聞いたり、家族と会話をしたり、景色を眺めたり。ゴルフには、そういう「時間を味わうための道具」という感覚があります。ライフワークであるクラフトと同じように、モノとの時間を大切にしながら、どう付き合っていくか、どう使いこなしていくかを楽しめる存在になっているのかもしれません。
クルマも同じで、移動時間が長い暮らしをしていると、クルマに乗る時間そのものが、日々の中の大事な時間になってくるんですよね。だからクルマは、単なる移動手段というよりも、その時間をちゃんと味わえるような道具であってほしい。音楽を聞いたり、家族と会話をしたり、景色を眺めたり。ゴルフには、そういう「時間を味わうための道具」という感覚があります。ライフワークであるクラフトと同じように、モノとの時間を大切にしながら、どう付き合っていくか、どう使いこなしていくかを楽しめる存在になっているのかもしれません。
長く愛せるものに囲まれて
ー上原さんにとってゴルフⅧはどんな存在になっていますか?
本当に長く使われてきた伝統的なものや、愛され続けてきた道具には、必ず理由があると思っているんです。流行ではなく、時間を経てもそばに置いておきたいと思えるものに惹かれますし、その感覚は自分のモノづくりや、家で使う道具の選び方にも通じています。ゴルフも同じで、暮らしを支えてくれる心強い相棒のような存在ですね。
御代田は軽井沢の隣町で、自然は美しい一方で、冬の厳しさもあります。冬を重ねるごとに運転にもだんだんと自信がついてきましたし、ここでの生活は、どの季節にもそれぞれの表情があって、意識して向き合えば向き合うほど、発見が増えて飽きることがありません。一見「なにもない」ように見える毎日を楽しめるかは自分の気持ち次第。その時間を、これからも愛車といっしょに積み重ねていきたいと思っています。
━━━━━━━━
上原かなえ
出身地 :
出身地:鹿児島県
職業/肩書き :
クラフト作家
SNS/HP : IG:
@kanaeuehara
車種 :
Volkswagen Golf Ⅷ TDI
ゴルフ所有歴 :
2年
クルマの主な使い方 :
子どもの送り迎えや買い出し、仕事などの日常の移動。